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I'm in heaven

ヅカヲタな二十代会社員の日々

あなたの人生の物語/王妃の館

みりおんサヨナラマイ初日を終えました。

 

重すぎず、軽すぎないコメディでした。何回も、繰り返し見るたびにじわじわとしみてきます、味が。

 

主役二人のお衣装の奇抜さもさることながら、一筋縄ではないツアー客たちのいろいろな思いが交錯し、まさに群像劇。

みりおんのサヨナラに引っ張られすぎない演出に好感が持てました。

こういう軽めの話好きですね、なんども言いますが「きみを愛してる」的なやつ。

 

北白川右京@朝夏まなと

長い手足の無駄遣い笑

天使が降りてきた時のくねくねはかつてシャルウィーダンスで一世を風靡したともみんのくねくねに通ずるものがあります。共通点は二人とも手足が規格外に長い。

仕草のひとつひとつが気取り屋の変人感を醸し出していて、正直まぁ様にこれほどのコメディセンスがあるとは思っていませんでした。こっそり正塚先生待望論。メラコリで相性の良さは証明されているはずなので、ぜひに。

後半に行くと変人感は薄れて、良識ある?クレバーな作家先生になっていきました。やはりルイと出会ったからかな。彼は彼なりに書けない苦悩があって、ルイというおかしな存在に縋ってしまう切羽詰まった感はあります。

ラスト首を痛めるイケメンポーズからの、手をゴシゴシは反則だと思う。こいつ、もしかして最初から狙ってた…?みたいな

 

(追記)

初日あけてすぐと楽一週間前でずいぶん変わっていました!仕草のひとつひとつに磨きがかかり、何より最初にみりおんと握手したとき手を拭い、ラスト自分で自分の手をゴシゴシしてから差し出すという伏線ができていてもう涙涙

 

桜井玲子@実咲凜音

サヨナラ公演でこういうお役をこなす力。物語の中心は彼女ではなく、ルイや下田夫妻なのですが、彼女は彼女の言葉で彼らに語りかけ、励まそうとしています。経営がうまくいかないという困難を非常識ではありますがダブルブッキングツアーで切り抜けようというあたり、やり手感がしますね。

歌い出すとみりおんの歌声に包まれる劇場。高い音がうるさく響かないのがとても心地よい。それでいてハーモニーの時は寄り添うように。

お洋服はヴェルサイユの時のが好きかな、色味がメラコリにちょっと似て。

 

お衣装といえば、これは勝手な考察ですが今回まぁみりの衣装が段々シンクロしていってるのでは?と。

 

最初はピンク。まぁ様は全身、みりおんはスカートの縁取りがピンクでした。

次になんというのでしょう、薄い紺色というのでしょうか、中の刺繍にも気をとられましたがまぁ様の刺繍スーツの色とみりおんのお洋服の襟と胸元のボタンのあたりの生地が似てます。そして最後、素材は違えど二人とも赤色です。ささいなことですが、反対の色味でも相手役感は出ますが、こうやって段々シンクロしていくと、じわじわきますね。北白川先生は私服のセンスが奇抜でいらっしゃる笑

 

ルイ@真風涼帆

星組で鍛えられた抜群のコメディセンスをとうとう真ん中あたりで披露し始めましたね。何度見ても、なんで私がお前達をガイドせにゃならんのだ、のせにゃならんのだの言い方が秀逸。あの一言とか、ついついディアナのこと口走っちゃうあたり愛すべき王様ですね。

しかし隠しきれない貴族感。

あのカツラと衣装に着られないのはまっかーぜさんの武器の一つだと思います。

また、公演ごとに歌の向上がめざましく、ここ数年ぎゅぎゅっとこれまでの何倍も上達しています。

立場が人をつくるのか、ひとが立場をつくるのか、というのは永遠の議題ですが

まっかーぜさんは立場が人をつくった

成功例だと思います。

 

以下は印象的だった役を

 

マノン@松風輝

まっぷー!

今回の公演でのいちばんの収穫は間違いなくまっぷーのマノンです。

本来ならばすっしーさんがやっても良いくらいのお役ですが、

まっぷーが見事に演じきり株急上昇!

ルイの派手な登場のあとに脇からひょこひょこっと出てきてルイに驚いている人たちにぬるっと混ざったり、

とくにベルサイユへ♪のナンバーで

長い手足を存分に振るまぁ様と貴族感を残しつつ踊るまっかーぜさんの後ろで、

二人の振り付けを見ながら足を前に蹴飛ばす笑まっぷーは必見です。ちょうどいいワンテンポ遅れで踊っています。

まだ、表情やわずかな仕草でルイへの忠誠心が見て取れました。ラスト、舞台の奥で再会したルイとディアナをプティルイと見つめるマノンの、なんと優しい目。

もっといろんなお役が見たいですね。

 

ミチル@星風まどか

あれ、誰だろあのかわいこちゃん…

な、なんだって!!あれが超期待の新星娘役星風まどかちゃんだって!?

とひとりで騒いでいました笑

一歩まちがえばおばか?に見えてしまう役なのですが、彼女はあくまで良識ある、ちょっと楽しいことが好きな女の子をつくっていたような気がします。

おとめで顔を確認しましたが、化粧映えする顔立ちですね。

化粧によっては、かわいくも大人っぽくもなれるのではと期待。

あのメンツの中、物怖じしない度胸も素晴らしいです。

 

くれよん@蒼羽りく

そうきたか。

もともと中性的な顔立ちですが、

女性ではなくちゃんと女装した男役に見えました。

とくに、谷間をはっきり描いちゃうのがすごいなと。見るたびに心配なりました笑

スタイル抜群で、仕草もちょっとくねっとしてますが、それだけじゃなくてこういう風にしたらもっと良くなるっていうのを自然にわかってるんでしょうね。いちいちかわいい。

ショーの牛さんとのギャップがすごいです。

客席降りのとき間近で煽られて死にました。

 

 

みりおんのサヨナラに特化しすぎない群像劇で、

一歩間違えば退屈になってしまう構成を宙組生のとてつもない総合力で

素晴らしい物語にしていました。

幸運なことに東宝でも見られることになりましたので、

さらなる進化に期待したいです。

 

私は、止めなかった/金色の砂漠

千秋楽ライビュになんとか滑り込みまして。久々の花組でした。

 

トップになるとなかなか悪役、ヒールはやらなくなるものです。たとえ悪だとしてもそれは敵にとって悪なだけで観客から見ると正義であったり、その理由がしょうがなく思えるものだったりします。

 

今回みりおが演じたギィはトップらしくない役でした。褒めてます。

こういうみりおが見たかった!と思わせてくれるとても、とても難しい役でした。

鬱屈としていて、でも繊細で、鋭利で、脆くて、弱くて…

みりおのお芝居が存分に堪能できる役でした。

 

 

私はとくにみりおの目が好きです。

 

タルハーミネに結婚するのですか?と尋ねてから、お父様の中で決まっていることだものという返答を聞いた時の目。切なくて、でも恋慕の入り混じった目でした。

 

そして自分の出自を知って母を詰る時の表情。憎しみではなく、大きすぎる悲しみと絶望の入り混じった瞳、そして徐々に復讐に燃えてゆく。

 

今、この瞬間にみりお以外にこの役を演じきることのできる人が思い浮かびません。祐飛さんもとても似合いそうな役だなぁと思います。

 

ラスト、母が塔から飛び降りたと聞かされた時、ギィは最初理由がわからず戸惑いの表情を見せていました。

しかし泣きながら彼は悟りました。母もまた、自分と同じく心と身体がばらばらになってしまいそうな愛を抱いていたことを。

 

全てを手に入れ、復讐を果たしたギィが何故砂漠へ向かったのか。

憎しみの愛でもいい、力ずくで手に入れた愛でもいい、と思っていた彼の背中を押したのは母の死なのかもしれません。

 

そして彼は全てを捨てて砂漠へ。

タルハーミネを愛し始めたその瞬間から聡い彼はふたりの終着地が砂漠だと気付いていたのかもしれません。

 

幼い頃、二人で砂漠を彷徨った時には彼の心にはまだ恋というものしか宿っていなかった。

恋はギィにタルハーミネの頰を張らせ、生きることを続けさせました。

 

しかし愛がギィの胸に宿った時、

その愛はタルハーミネの心を抱き、ただ死へ向かうようにとギィを誘いました。

二人の愛は生の内にはないと、ギィは最初から知っていたような気がします。

 

 

 

 

タルハーミネ。

彼女の愛はとても難しい。しかし彼女が唯一愛したのはギィであることは疑う余地がありません。

 

彼女の感情は複雑ですが、揺らぐことはありません。花乃ちゃんにこんな難しい役を振るとは、さては上田先生、結構なエスですね?笑

 

幼い頃から自分付きの奴隷としていちばんそばにいたギィを彼女は、土や砂と同じだと言います。

それは彼を見下しているわけではなく、そういう存在だと思っているという、ただそれだけのこと。

彼女は幼い頃から孤独だったように感じます。この孤独というのはギィと二人きりであるという孤独です。

彼女がもっともっと外の世界のことを知ったら、この物語は全く違う展開になっていたと思います。

しかし彼女はあえて外の世界を知ろうとせず自分たちの世界に閉じこもっていた。二人きりの孤独こそ彼女の唯一生きたいと思う世界だったのではないでしょうか。

二人きりの秘密、二人きりの傷、二人きりの寝室。

 

何故、お前なんかを愛してしまったの。

 

これは後悔の言葉ではなく、自覚の言葉だと思います。

 

もっと違う愛し方をしたかった。でも二人は互いに憎しみの中で思い合うことしか出来なかった。憎しみの中で純化された愛を送り合うことしかできなかった。

 

非常に対照的なのがビルマーヤとジャーです。二人は慈しみの人。しかしお互いが優しすぎた故に愛は愛のままではいられなかった。

 

この二人の穏やかで優しい姿があるからこそギィとタルハーミネの愛が際立つのだなと思います。

 

しかしキキちゃんはいつの間にこんなに良い青年に育ったんですか。

ビルマーヤを愛するが故の少し寂しげで優しい笑顔に何度心を撃ち抜かれたことでしょう。

 

ラスト、ギィに向かってどこへ行ったのか、

タルハーミネに向かって金色の砂漠は見つかりましたか、と問う姿。

激しさはないのに悲しみがじわじわとベールを下ろしているような。

 

 

 

全ての始まりであり、最後の引き金を引くことにもなったのは、

ジャハンギールとアムダリヤの愛でしょう。

 

冷酷で勇敢な王、ジャハンギール。何も恐れず、負けを知らず、全てを望むままにしてきた。

 

そんな彼が唯一自力で手に入れることが叶わず、二人の子供の命の代わりに手に入れたもの。

それが前王の妃アムダリヤでした。

 

 

ジャハンギールが動ならばアムダリヤは静。

 

 

タルハーミネとは対照的な彼女が愛したのは、自らの夫を殺し、我が子を奴隷に落としたジャハンギールでした。

あれだけ自信に満ちたジャハンギールがタルハーミネに対するときだけはいつもの高圧的な態度がほんの少し弱くなっていたような気がします。

力ずくで妃にはしましたが、心までは自分のものになっていないと知っていたジャハンギールは恐々とガラス細工にでも触れるようにアムダリヤを愛してきたのではないでしょうか。

 

アムダリヤ付きの奴隷であるピピはアムダリヤの最後を語るとき、

あの方の全ての感情をそばで見守ってきた、と言いました。

 

人間の感情は決して一定ではありません。

かつて愛したのは確かに前王でしたが、その前王を失くした悲しみを全てではないけれど埋めてくれたのはジャハンギールだったのではないでしょうか。

 

しかし彼女は自身が誇りを捨ててまで生き延びさせた我が子に詰られました。

 

何故、誇りを守らなかったのか、と。

何故、死を選ばなかったのか、と。

 

我が子が父親の仇をうち、

その仇がそうしたように親族の命と引き換えに我が妃になれとタルハーミネに迫ったとき、アムダリヤの頭にはかつて、自分がそう迫られた時のことが蘇ったでしょう。

お姉さまがそんな奴の妃になる必要なんかないわ!誇りを捨ててはいけないわ!と末妹のシャラデハがタルハーミネに叫びます。

アムダリヤの時にそう言って止めてくれた人はいたのでしょうか。

頷くタルハーミネに自分の姿を重ねたのでしょうか。

 

ピピは言いました。

私はアムダリヤ様が飛び降りるのを止めなかった、と。

 

セリフも出番も少なかったですが、次期トップ娘役のゆきちゃんがこのお役をやりきったこと、本当に頼もしく思います。

ジャハンギールとアムダリヤでサブストーリー作れるよ、上田先生…。

 

 

ところどころの粗はあるものの、

観劇後に考察したくなるのは、登場人物たちの感情を探ってみたくなるのは

もしかしたら星逢以上かもしれません。

 

もう一回くらい見たかったなぁー。

 

今週末はムラでみりおんサヨナラ始めてきます