I'm in heaven

ヅカヲタな二十代会社員の日々

光は、あの人だ/王家に捧ぐ歌

こんにちは。

かつて毎晩妹と宙組公演「NICE GUY!!-その男、Yによる法則-」のプロローグを見続けていた南山です。*1セットで月組公演「ESP!」も見てました。

カメラワークがいいよね。

 

今回は現在毎晩見続けている公演について、語りたいと思います。

 

それは宙組公演「王家に捧ぐ歌」

宙組7代目トップコンビ朝夏まなと*2実咲凜音*3のお披露目公演です。

 

かつて湖月・檀コンビの星組で公演された演目なのですが、当時は二番手男役安蘭けいがヒロインアイーダを演じていたため、テーマは「愛と平和」でしたが

今回は純粋に「愛」をテーマにすると演出家の木村先生が発言しています。

 

実は私、星組版の「アイーダの信念」は音源を持っていたのですが、中身はちゃんと見たことがなくて、なんというか元がオペラなので仰々しいなぁというイメージでした。

それがまぁみりコンビの素晴らしい演技によって毎晩見る羽目になっているわけです笑

 

戦争の勝利による平和を理想とするエジプトの将軍、朝夏演じるラダメス。

不戦でしか平和は得られないと訴えるエチオピアの王女、実咲演じるアイーダ

 

この二人の愛の物語です。

 

二人の目指すものは同じです。

平和。

しかしそれをどのように得るか、その手段は異なります。

ラダメスは戦争に勝利し、その上でエチオピアを解放する、それが平和をもたらすと考えていますがアイーダは違います。

たとえ解放をもたらそうとも戦争は戦争、戦いは新たな戦いを生むだけ、と訴え続けるのです。

 

アイーダはエジプト人からはもちろん、同胞であるエチオピア人からも疎まれ、虐げられますが、

決してその理想を曲げません。

彼女が唯一その芯を折ることになるのが、唯一愛した男性ラダメスのためなのです。

 

ラダメスは地位も名誉も捨て、二人で生きて行こうとアイーダに語りかけます。

 

でもどうやって?

 

ラダメスはエジプトのファラオの娘であるアムネリスから好意を寄せられていました。

また、アイーダもエチオピア王である父からラダメスに取り入って情報を手に入れるようにと追い詰められていたのです。

 

戸惑うアイーダにラダメスは

アイーダ、と何度も呼びかけ

ただ両手を広げて銀橋の真ん中で待ちます。

 

アイーダは堪えきれずラダメスの胸に飛び込み、国や地位、そして理想から解放されて二人だけで生きて行こうと誓い合います。

 

ひと時の感情だけで動くべきではない、とアイーダが諭した時に

ラダメスが、あの朗らか快活なラダメスが初めて感情を露わにするシーン、必見です。まぁ様の演技力が遺憾無く発揮されています。

 

しかしエジプトの将軍であるラダメスは常にファラオのそばで護衛をしなければならない定め、どうやって逃げ出すのか?

 

悲劇はここから始まりました。

 

ラダメスはファラオの護衛が甘くなる新月から数えて14番目の夜の話をアイーダにしてしまいます。

 

そしてアイーダはラダメスと生きて行くため、エチオピアの王女という身分を捨て去るために14番目の夜の話をエチオピア王、そして兄であるウパルドにしてしまうのです。

 

ファラオは暗殺され、暗殺を決行したエチオピア人たちは自分たちに情報をもたらした裏切り者がいる、と言い残し自害してしまうのです。

 

ウパルド演じる真風涼帆*4の新たな魅力に気づかされました。

狂気の中で刃を振りかざしファラオを刺した後、自らをも貫くのです。宙組に組替えして初めての大劇場公演でしたが、この、少しぶっ飛んだ役をやったことで馴染むというよりはドン、と腰を落ち着けた感じです。

 

裏切り者はラダメスだと判明し、彼は捕らえられ、

その罪の重さから地下牢へ投獄されることになりました。

もはやアイーダと二人で生きて行くという夢どころか、命さえ助からない。

 

個人的には囚人となって、真っ白な服になり、裸足のラダメスもといまぁ様がツボです。ずっと金ピカの衣装だったので、それももちろん似合っていましたが素の美しさが映える衣装です。

そして足なっが

 

 

 

地下牢に落とされたラダメス。

 

ここからが毎晩見ているシーンになります。ここまで長すぎ笑

 

 

銀橋の端っこ、暗闇の中でラダメスはうな垂れています。

 

全てを失い、死んで行くだけの自分。

 

そこにはかつて理想に燃えた将軍の姿はありません。

 

ゆっくり、光が差し込みます。

ラダメスは顔を上げ、光を見上げます。

 

この時のカメラワークが抜群です。私はWOWOW版を見ているのですが、みんなこのカメラワークなんでしょうか?角度とか、照明とか完璧なのです。

まぁ様のきれいな丸い瞳が溢れそうなほど見開かれ、セリフよりも雄弁に感情を語っています。*5

 

光は、あの人だ。

 

身体を起こし、光を見つめ、

小さく俯きます。

 

私は死ぬ、しかしアイーダは生き続ける。

 

アイーダさえ生き続けてくれれば、良い。

 

高らかに歌い上げ、将軍だった頃の姿を一瞬取り戻します。まるで自分に言い聞かせるように。

 

暗闇の中に声が響きます、ラダメス、と。

 

ラダメスは再び不安げな表情に戻り、声に応えます。

 

そして銀橋の真ん中でその人の手に触れます。

 

アイーダ。彼女は全てを捨て、命さえ捨て、自ら地下牢に忍び込んだのです。

 

もう、出られない。

 

どうして、何故、もう、出られない。

ラダメスを支えていた何もかもが崩れ去ります。

 

愛する人が生き続ける未来。

自分が愛した人が、この広い大地で輝き続ける。

そして平和の理想を叫び続ける。

 

彼がほんの少し前に夢見た理想は崩れ去りました。

 

しかしアイーダはとても満足気なのです。実際、地下牢は暗闇に包まれているのでラダメスがアイーダの表情を見ることができたかどうかはわかりません。

 

あなたを愛しているから。

 

 

 

かつてラダメスが両手を広げて伝えた言葉を今度はアイーダがラダメスへと。

 

ラダメスはこうして、ようやく全てから解放されました。

 

私はもともと少し強気なヒロインが好きなのですが、アイーダに関して言えば最初は強情すぎるくらいでちょっと苦手かもと思っていました。

しかし彼女の一貫した理想、誰に何を言われようと変わらなかった思いがラダメスによって解された時にちょっと好きになって、

この地下牢のシーンでは完全に好きになっていました。

 

そして二人は舞台の中央で折り重なり、沈んでゆきます。

 

このシーン、何度見ても良い。飽きません。

 

なんなら二人が折り重なる瞬間に涙出るかも、とすら思います。

 

ちなみにこの演目、博多座で再演されており、キャストが少し変わります。

 

さらに、このシーンへのまぁみりのアプローチが結構異なっているのです!!!

たとえば、光はあの人だ、の言い方。

大劇場では少し不安な感情を残しつつ、辿るような言い方ですが

博多座だと、そもそもラダメスがより大人っぽくなっています。悟っている、というのでしょうか。*6 

 

itunesに両方の音源がありますので、良ければ聴き比べて見てください。私は毎日聞いています笑

 

見終わってからみると、確かにこの公演、テーマが愛になっています。

平和というより、不戦というより、圧倒的に愛。

 

できれば二人のシーンがもうちょっとあったらなぁ…というのが唯一の不満点でしょうか。

 

登場した時からラダメスがめっちゃキラキラな瞳でアイーダを見てるものですから笑

*1:ゆうひさん時代の宙組を語る上で欠かせない大介ショー。トップ、二番手、三番手と本気で客席を落としにかかってくる

*2:88期。まぁ様。ファンをしてチャラい、と言わしめる男役トップ

*3:花の95期。みりおんおねえさん。娘役主席であり、見た目もきれいなおねえさんだが意外とサバサバ系、でもそれがかわいい

*4:宙組二番手男役スター。92期。入団当初からそのビジュアルがかつての雪組トップスターを思わせるということで話題に。入出の画像見てください、ただのイケメンです

*5:溢れそうなほどの瞳といえばみやちゃんですが、みやちゃんは見開かなくてもじゅうぶん溢れそう

*6:何故私は博多座へ行かなかったんだ…時計の針を戻したい