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I'm in heaven

ヅカヲタな二十代会社員の日々

はい、ふくもです/若き日の唄は忘れじ

宝塚:雪組

えりあゆが好きです。

 

紆余曲折を経て晴れて雪組トップコンビとなった二人のいちばん好きな作品は何かと問われれば私は迷いなくこれをあげます。

「若き日の唄は忘れじ」

プレお披露目、そして全国ツアーと重ねて公演されたいわゆる日本物です。

 

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それまで日本物というものを生で見たことがなくて(厳密に言えば仁は見ていましたが、あれはちょっと毛並みが違うかなぁ)

青天が似合う男役なんているのかしら…と疑心暗鬼になりながらも向かった中日劇場。

 

帰り道、えりあゆ…ぶつぶつ…、みたいになって帰ってきました笑

 

原作は藤沢周平の「蝉しぐれ

以前NHKでドラマをやっていたような気がします。

 

今でも時折この作品を見返していますが、話の構成が実に上手くできていると思います。*1

 

幼年期、青年期、そして壮年期へ。

わずか1時間半の間に文四郎とふくの人生を情感たっぷりに描いているのです。

 

昨年やはり雪組で上演された「星逢一夜」*2と、

私は比較して見たりしているのですが、

若唄の方がより形式美といいますか、根底に物悲しさが流れているような気がしています。

 

簡単にあらすじをご紹介すると、

幼馴染である文四郎とふくは言わずもがなお互い思い合っていたのですが、

文四郎の父に嫌疑がかけられ一家は村でも疎まれ者に、

そしてふくは家の事情で奉公に出ることになりました。

時が経ち、文四郎は持ち前の剣の腕を活かし職につき、

ふくは藩主に目をかけられ寵愛される身となります。

 

そして二人は思いがけず再会します。

 

しかしその邂逅も僅か、二人の間には越えることのできない壁ができていたのです。

さらに年月が経ち、文四郎はふくへの思いを断ち切れずにいました。そこへ出家するというふくから最後に会いたい、という手紙が来るのです。

 

 最後に二人が隣り合って海を見つめながら語り合う場面。ラブシーンには見えないだろうし、ラブシーンではないのですが、とても美しく、そして悲しいシーンです。

 

文四郎という役は幼年期はとても快活で、まっすぐで、見ていて気持ちの良い少年です。そんな彼が父の死を経て大人にならざるを得ない青年期。

服装や髪型はもちろん、何より肩のあたりに影を背負っているような雰囲気になるのが印象的です。

その姿のかっこいいこと!!

 

文四郎には二人の仲の良い幼馴染がいます。

それぞれ幼年期、青年期と時を経て変わって行きますが、その友情に変わりはありません。

 

中日版と全ツ版ではこの幼馴染の二人、全く異なるキャストになります。どちらもそれぞれの良さがありますが個人的には中日の方がしっくりくるかな。

 

ちなみに

中日版では

小和田逸平:早霧せいな*3

島崎与之助:沙央くらま*4

 

全ツ版では

小和田逸平:夢乃聖夏*5

島崎与之助:彩風咲奈*6

 

 これもそれぞれ見比べると面白いと思います。

 

ふくはとてもピュアで、恥じらいながらも文四郎を慕っているのがひしひしと伝わってくる可愛らしい少女です。

そんな彼女が大人にならざるを得なくなり、ふくではなく「おふくさま」にならなければない残酷さが、文四郎と再会した時の声色から感じ取れます。

おそらくふくは嬉しいのですがそれを少しも出さず、昔よりもいくらか低く響く声で文四郎に語りかけます。

そのギャップをあゆっちは声色や表情を使ってうまく表現しています。

中日版より全ツ版の方がよりそれを感じます。

 

ラストの二人きりの会席。

二人はお互いの抱き続けた思いを語り合い、戻らぬ日々を後悔します。

しかし、幼き日々を、愛おしい日々を共に過ごせたという事実は消えることはなく、

いつまでも胸の中で輝き続けるのです。

 

目に見えなくとも、はっきり口には出さなくても、ずっとそこにある絆。

若唄はそんな静かで美しい人と人との繋がりを感じさせてくれる作品です。

 

日本物に挑戦してみたいという方は是非この作品を。

 

*1:ちなみに私が持っているのは全ツ版です悪しからず

*2:演出家上田久美子先生による大劇場デビュー作品。劇場中をすすり泣きへと誘う切なくも美しい作品である。友だちに紹介する時はキーワードを一揆にするのがお約束

*3:雪組トップスター。87期。ちぎちゃん。少年のような快活さと繊細な美貌を併せ持った男役。意外と熱血派

*4:専科男役スター。87期。コマさん。毎年ポスターカレンダーを買ってしまう…確かな演技力と舞台を引き締める存在感。某妹曰くシェイクスピアの世界観にいそうな輪郭

*5:雪組男役スター。87期。ともみん。足が長すぎる銭形のとっつぁんを演じたこともある。もぎたて果実のようなフレッシュさがある男役さんです

*6:雪組男役スター。93期。さきちゃん。ロミジュリ新人公演初見時、足なっが…と言葉を失った超絶スタイルとほんわかした外見と逆に男臭い役をこなしたりと注目の男役さんです