ロングハンドチョップ/紅ゆずるという男役について
仰々しいタイトルつけてますが、
あんまりすごいことは書けませんのであしからず。
次期星組トップスターとなることが決まっている紅ゆずるという男役(みちふうラストデイまで二週間もないという事実に呆然としています)、
私のヅカ歴の中でもわりと初期に覚えたスターなのですが、
いい意味でタカラジェンヌのイメージを変えてくれた人だと思います。
初観劇の後に面白いか面白くないか、自分に合うか合わないかわからないまま公演DVDを買うことを躊躇っていた私があっさりポチってしまったのが
brilliantdreamsNEXT、通称ブリドリの紅ゆずる編。確か年に数回の風邪をひいてしまって少しぼーっとしながら見た記憶があります。
もうびっくりしちゃって笑
面白いから。
AQUA5*1に憧れてグループ活動を始めるって何それ笑。
他のブリドリの内容とは明らかに違います、とにかく楽しそう、宝塚あんまり関係ない。個人的にはお料理対決がいちばん好きかも。
このディスクによって私の中で紅ゆずる=陽気なスターというイメージが出来上がったのですが、
あの怖い人誰…と思ってプログラムを見たら、あのサインコサインタンジェントの紅ゆずるさんダッタンデスヨ!!!
作品の雰囲気とか配役もあるしなぁ、と思いながら予約していた「リラの壁の囚人たち」を見たらまたシリアスな役をしていて。「めぐり逢いは再び」*3を見てやっとホッとしました。
去年の「こうもり」でも大変コミカルな役を演じていましたし、確かにアドリブ力は高いし、陽気な役は合っていると思う、
でも紅ゆずるというスターの真骨頂は、
シリアスな役だと思っています。
もっと具体的に言うならば、辛そうな顔をする役が好き。変態チックですけども笑
「リラの壁の囚人たち」のジョルジュという役が私はとくに好きで、
次点がロミジュリのマキューシオかな。
この手の役をやらせたらすごく、すごくハマると思っています。
例えばリラ壁のジョルジュは
戦争によって車椅子での生活を余儀なくされていて、そんな自分が不甲斐なくて婚約者のポーラに優しくすることができない。本当は彼だってポーラに優しくしたい。でもまわりの人間たちと同じでポーラも憐れみ混じりで自分に優しくしているんじゃないかと疑ってしまう。
主人公のエドが冷静で落ち着いていればいるほどジョルジュの感情が過剰に見えてしまうんですよね。それが痛々しい。
ポーラがエドに惹かれていることを知ったジョルジュは激しく動揺して、ポーラを責め立てます。
ポーラをそばに呼び寄せて「笑えよ」って言うシーンがあるんですけど、その時の悲しい表情がなんとも言えないくらい好きです。
果たしてジョルジュは激情家なのか?
私は違うと思っています。あの時代だからこそ、抑圧された壁の中の囚人たちだからこそ皆、静かでいることしかできない。その中でジョルジュは痛々しいくらいに素直で、抑制しきれていない。自分の中の感情を突き詰めていってしまう。
ジョルジュのソロナンバー「心の壁」
俺は崩すことのできない
この壁にこれからずっと
閉じ込められて生きて行く
最後両手で自分の顔と頭をくしゃくしゃとしてから、はた、と我に返って硬直した表情ではけていきます。
見開いた目の中に、何もうつっていないようで、実は底なしの闇があるような。
裏切られたり、負けたり、そんな時の表情がいい意味でつくりこまれていない。そこがいい。
絶対的トップスター柚希礼音、そして圧倒的な実力と安定感を兼ね備えた北翔海莉のもとで二番手として過ごしたことは間違いなくリーダーの糧になっていることでしょう。
コミカルな役もおとぼけな役ももちろんいいけど、眉間にしわを寄せているような主人公が是非見て見たいなぁと思っています。
そうだなぁ、ここは正塚先生と一回組ませてみません?桂さんのはじめて愛したとかこむさんの銀の狼とか私めっちゃ好きなんで